絶縁破壊とは絶縁体に限界値以上の電圧がかかり、絶縁体の電気抵抗が急激に低下して電流が流れる現象を指します。電気製品のコードは電気を通しにくい「絶縁体」で覆われているため安全に使用できます。しかし絶縁体はすべての電圧に耐えられるわけではなく、許容電圧を超えると絶縁破壊が発生し絶縁されるべき箇所に想定外の電流が流れてしまう可能性があります。そのため製品の安全性を高めるには絶縁破壊を考慮した設計が必要です。
絶縁破壊試験では試験片に電圧を加えて試験片が絶縁破壊するときの電圧(絶縁破壊電圧)を測定します。これにより材料がどの程度の電圧に耐えられるかを確認することができ、製品設計や安全性向上に役立ちます。
絶縁破壊試験の種類
絶縁破壊試験は主に固体電気絶縁材料と巻線(エナメル線)で試験方法が異なり、試験方法はそれぞれの規格で定められています。
※詳細な試験内容は各材料試験規格による
- 固体電気絶縁材料:JIS C 2110 固体電気絶縁材料-絶縁破壊の強さの試験方法
- 巻線(エナメル線):JIS C 3216-5 巻線試験方法-第5部:電気的特性
また、固体電気絶縁材料の絶縁破壊試験は次の3つの試験に分類されています。
- JISC2110-1:商用周波数交流電圧印加による試験
- JISC2110-2:直流電圧印加による試験
- JISC2110-3:インパルス電圧印加による試験
このページでは、固体電気絶縁材料の交流電圧印可による試験(JISC2110-1)、および巻線(エナメル線)の試験(JIS C 3216-5)について解説します!
固体電気絶縁材料の絶縁破壊試験(JIS C 2110-1)

絶縁破壊試験は試験片を電極に挟み、電極間に規定の電圧を加えて絶縁破壊電圧を測定する試験です。試験方法は試験電圧の昇圧方式によって以下の3つに分類されます。
- 短時間試験(絶縁破壊試験、BDV試験)
- 段階昇圧試験
- 保証試験(耐電圧試験)
短時間試験(絶縁破壊試験、BDV試験)
試験電圧を一定速度で昇圧し、絶縁破壊が発生した電圧(絶縁破壊電圧)を測定する試験です。

段階昇圧試験
試験電圧を段階的に昇圧し、絶縁破壊電圧を測定する試験です。
試験電圧を加え、20秒間絶縁破壊が生じない場合、規定の昇圧ステップで試験を続けます。最終的に20秒間耐えた最大電圧を測定します。

保証試験(耐電圧試験)
規定の電圧を加え、一定時間保持して絶縁破壊が生じるかを評価する試験です。
製品が使用電圧に対して十分な絶縁耐力を有しているかを確認します。

POINT
試験時に試験片の表面を電気が伝って反対側の電極に達する沿面放電が発生する場合があります。沿面放電が発生すると正しい試験結果が得られないため、対策として空気中よりも絶縁性が高い油中で試験を行うことで沿面放電が発生しにくくなります。
油中での試験イメージは以下となります。

装置概要
板、シート、プレスボード、紙、織物、フィルムを試験する場合
下記3種類から電極を選択します。
異径電極

同径電極

球ー平板電極

テープ・フィルムなど試験する場合
電極は2本の金属棒とする。試験片が水平に配置できるようなジグを用いて試験を行います。


テープ類の試験用電極・ジグの配置
巻線(エナメル線)の絶縁破壊試験(JIS C 3216-5)
エナメル線の絶縁破壊試験では、「2個より法」や「金属シリンダ法」などの方法で絶縁皮膜の性能を評価します。
2個より法

試験片の両端の皮膜を除去し、規定の回数で撚り合わせます。線間に試験電圧を加えて昇圧し、絶縁破壊電圧を測定します。
金属シリンダ法

試験片の片側の皮膜を除去し、上部端子に接続してシリンダに巻き付け試験片とシリンダとが密着するように試験片の下端に張力を加えます。シリンダと導体との間に試験電圧を加え絶縁破壊電圧を測定します。
安田精機の試験機:No.199 絶縁破壊耐電圧試験機
- JIS C 2110-1 固体電気絶縁材料-絶縁破壊の強さの試験方法-第1部:商用周波数交流電圧印加による試験
- JIS C 3216-5 巻線試験方法-第5部:電気的特性
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